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2014.09.10

ぼくたちの小商い

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昨日はある雑誌社のライターさんからの電話取材を受けました。その本は創刊当時から共感しているコンセプトの本なので、ぼくも嬉しい気持ちでいろんな話をさせていただきました。主に、手作りワインキットについて、もう一つは「小商い」について50分ほどです。そのライターの女性は片付け仕事ではなく、とても興味を持って聞いてくれました。楽しくてあっと言う間に終わったという感じでした。

その時に話したことの一部をここにあらためて書いてみます。


手作りワインキットが生まれたいきさつ

Eagle_fullface実をいうと手作りワインキットは最初から商品化しようと思って作ったものではありません。というか、アウベルクラフトのルーツになったカーサイドタープ「イーグル」も雨男のぼくが毎回キャンプで雨続きで困っていたのです。それでこんなタープがあったらいいよなあと思って個人的に作ったものです。最初は趣味として使っていたものが、その後商品化につながり、さらにはアウベルクラフトという会社ができていったという経緯があります。他にも石窯キットや囲炉裏キットなど、多くのものがそういうものでした。

手作りワインキットはまだインターネットが始まる前の「パソコン通信」の時代に、ニフティの中でアウベルクラフトの仲間が集まるパティオという私的なページを作り、そこで夜な夜ないろんな話をしている内に、ワイン作りのことが話題になりました。

とても楽しかったです。そのうち、仲間の一人がアメリカからワイン用品を個人輸入しているという話題になり、じゃあみんなで共同購入すれば運賃が安くなる、やろうやろう。ということになりました。面白かったですねー、ホントに。みんなでいろんなことを実験的にやったし、実際にワインを持ち寄ったりして楽しんでいました。

アウベルクラフトではそれ以前に、ごく簡単な手作りワインキットの販売を開始していたのですが、殆ど売れませんでした。手作りビールもそれより前にやっていましたが、それほど売れませんでした。それにぼくたちの販売の主力はアウトドアグッズです。数々のユニークなタープやトートバッグ、クーラーバッグなどが中心でしたから、今のように本格的な手作りワインキットのことなど全く考えていなかったのです。

それがどうしてワインキットとして販売することになったのか、とても面白い話なのですが、そのことはまた機会があったらお話ししますね。

その他、ぼくの手作りワインについての数々の想いや、経験、そして日本でのワインの作りの現状までいろんな話を聞いてもらえました。聞き上手なライターさんだなあとずっと感じながら、でも気持ちを抑えながらの会話が続きました。

アウベルクラフトのホームページを見て、とても丁寧に分かりやすく説明していたり、自分たちが本当に楽しみながらやっているのを見て、柴田さんの想いがとてもよく伝わってきました。そう言っていただいたことが、とても嬉しかったです。

そして、話が「小商い」のテーマに移っていきました。ぼくたちが目指す「小商い」に興味を持ってくれたのかもしれません。


アウベルクラフトの直営ショップ

今から14年ほど前までアウベルクラフトは直営ショップを運営していました。ぼくたちが作った商品を中心にいろんな商品を集め、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようなお店だということで、テレビや雑誌、新聞でも紹介していただいたのですが、今思い出してもとても楽しかったです。

ここに集まってくれるお客さんと手作り教室を開いたり、できたばかりのキットをここに来てくれる人達に見せて実際に体験してもらったり、コーヒーもその場で焙煎して飲んでもらったり、囲炉裏キットの試作品をみてもらったり、時々飲み会もしました。いわゆるライブを楽しんでもらっていたわけです。そこには小さなでも素敵すぎるコミュニティがあったのです。

それに、ぼくらにしてみれば、お客さんの反応を直接感じることができるし、ぼくたちの熱い思いも直接伝えることができるわけです。本当に楽しかったんですね。

とはいえ、ぼくたちは会社を経営している立場ですから、売上を上げて採算がとれるようにしなくてはいけません。とりあえずできることは何でもやりました。お店も手作りでどんどん改造していきました。お客さまも増えていきました。兄が物作りを得意としていたので、殆ど材料代だけでどんどんやって行けたのです。

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当時の売上のメインは通販カタログを作り販売をすること、そしてビーパルなどに広告掲載をすることで販売をしていました。そして、直営ショップでも販売をしていました。でもこれらの売上げだけでは少ないので、インターネットでも販売を始めました。でも期待はするものの殆ど売れません。というか、当時はインターネットで物を売るということは期待できないという時代でした。

八方ふさがりで行き詰まっていました。だったら、自ら営業に回っていろんなお店で販売してもらえるようにするしかないな、どう考えてもそれ以外の方法が分からなかったのです。正直言って営業という仕事は兄もぼくも嫌いでした。特にぼくは全く経験がありません。でも背に腹は代えられないわけで、本当にいろんなお店に働きかけ、実際に商談にもでかけました。

ところが、ぼくたちの作った手作りキットは面白いし個性的ですから、どこへ行っても比較的よい反応がもらえたのです。結果的にお陰さまで売上は徐々に増えて行きまました。でも正直言うとぼくは心の中で「本当にこれでいいのか? 本当にこのままでいいのか?」という思いが頭の中にぐるぐる駆け巡っていたのです。

なぜかというと、このままだと、売上はどんどん伸びていくだろうなあと感じたのです。最初は小さな会社からのオファーだったのが、だんだん超有名な通販会社や、デパートや、コンビニ会社や、テレビ局、ネット通販、雑誌の通販部門など、どんどん広がりを見せたからです。あのフジテレビのスタジオにも2回行きましたよ。

普通に考えると、これから売上がどんどん増えて、会社を大きくすることができるチャンスなのに、ぼくは何故か会社が大きくなっていくことに違和感を感じました。起業したらだれでも会社を大きくしたいと思うのかもしれませんが、ぼくはそんなことには全く興味がありません。むしろ、小さくてもピカピカ光る会社の方がいいと思っていたのです。

その一方で、インターネットの売上が毎年毎年地道ながらも伸びていきました。アクセスも少しずつ増えて行きました。ぼくはどうしたらインターネットの売上が増えるのか必死に勉強し、自分でホームページを少しずつ手直ししていきました。結果的に手を掛ければ掛けるほど、売上は伸びていきました。

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インターネットと直営ショップの両輪はとても充実していました。いろんなことにもチャレンジしました。その1つが「あうべる子ども手造り教室(ジュニアクラブ)」というクラブでした。

ぼくたちは、学校の勉強も大切なんだけど、こういう手作りの楽しい世界があるんだよ、ということを子ども達に教えたかったのです。実は教えるというより、いっしょに楽しんでいたわけです。子ども達も楽しそうでしたが、ぼくたちも本当に楽しかったんです。

上の写真は手作り豆腐を子ども達といっしょに作る教室です。下の写真はアウベルファームという小さな畑にブルーベリーを植えようという教室です。子ども達の笑顔が素敵でしょう?

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こうしてショップの運営やインターネットなどの活動での相乗効果もあり、ぼくたちはどんどん元気になっていったのです。「元気」というのは人に頼らなくても、自分たちはやっていけるぞ!という明るい未来が見えるような気持ちです。

Webそして気が付いたら、業販で販売するのとインターネットでの売上と肩を並べるくらいになってきたのです。それならとまずは新規取引のお話があっても、お断りするようにしました。それはひょっとして、もうインターネットだけでいつかやっていけるようになるかもしれないな、という期待があったからです。

当然なんだけど、業販をやめたら売上は下がる。でもその分、新商品開発や商品改良、そしてホームページ作りに専念できるようになるんじゃないか!? そうすれば結果的に売上が上がってやっていけるようになるかもしれないな。かもじゃなくてぜったいそうなる! そう思った時に、もう、いてもたってもいられない気持ちになりました。

業販というのはとにかくとても手間がかかるんです。見積書を作ったり、その会社に合わせた書類を作らないといけない。場合によっては品質保証書のようなものを取り寄せたり、嫌いな東京に足を運んで商談に行ったり。ともかく精神的にそういう仕事が嫌で嫌でたまらなかったのです。ぼくがやりたいのは、いわゆるビジネスではなく、こんな楽しい世界があるんだよ、ということを伝えることではないのか? 何をやっているんだろう。自分は。。。本当にそう思うようになりました。

そして意を決して、お取引のある会社すべてにお詫びと取引の中止の案内を送りました。

ところがというか、当然というか、取引先からは全く反応はありませんでした。あー、そういうものなんだねと思ったのですが、実際、ビジネスというものはそういうものなのです。これでもう後にはひけません。一旦切ってしまったものはもう二度とつながらないのですから。

でも、こういう経験から強く思ったことがあります。今までは業販という間接的な販売方法ではぼくたちの想いは伝わらなかったし、逆にお客さまの声も聞こえてこなかった。でも直販することで、もっともっと距離が縮まるわけです。ぼくたちが本当にやりたい形ができあがったのです。

考えてみれば、ぼくたちが最初にやっていた方法。自分たちが作りたいものを、直営ショップやパソコン通信で伝え、お店でみんなに直接みせて実演してあげる。実際に体験してもらったり、食べてもらったり、飲んでもらう。そういう「小商い」こそがぼくたちが本当にやりたかったことです。いろいろな経験をして、また原点に戻ることができたわけです。

今はお店はやっていませんが、インターネットでもそれに近いことはできると思っています。実際に多くの人たちが、アウベルクラフトのホームページは心が通っていて、身近に感じる。いろんなことも相談に乗ってくれそうに感じる。そう言ってくれるようになりました。

これまでずっと崖っぷちギリギリの道だっり、深い茨の道を歩んできました。さらにはちょっと無謀な決断もしました。でも自分たちの意志と信念を貫き、たった一度の人生なんだから、ダメだったらそれでいいやと思いました。というか、ぼくたち柴田兄弟はみんなが通る道じゃなく、自ら道を開拓していきたいといつも思っているんですね。

その結果、今は安定した経営ができ、お客さまから信頼を受け、ぼくたちとスタッフがやりがいと楽しさを感じながら毎日仕事ができています。本当に幸せだなあと思っていますよ。

とはいえ、まだまだやるべきことは多いです。でもぼくたちの使命ははっきり見えています。このまままっすぐに進んでいこうと思っています。

みなさん、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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コメント

gochaさん、こんにちは
YouTubeでもありましたが、かなり奥深いところですね。
焚き火をしながら飲んだらつい飲み過ぎちゃうだろうなあ。

投稿: マーベル | 2014.09.16 15:35

蓼科高原 早い秋を味わったようですね・・・!

万古渓谷 シャワークライミング・キャンプはとても面白かったですよ。
二軒屋キャンプ場は、直火ができ薪も現地で集めることができます。

反省・・・いつものように飲みすぎてしまいました。

投稿: gocha | 2014.09.16 06:52

gochaさん、こんにちは。
いろいろ協力していただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: マーベル | 2014.09.12 10:52

ぼくたちの小商い

アウベルクラフトが作りたいものを アウベルクラフトと一緒に楽しみたい人の手に直接的につないでいける商い・・・!

送り手と受け手の関係が長期にわたって継続してゆくことで、人の体温を感じる商い・・・!

送り手は自分が行っていることが意味のあることであり、社会に必要とされているのだと実感することができる商い・・・!

わくわく・ドキドキ アウベルクラフト いいなあ~

投稿: gocha | 2014.09.11 21:09

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